そして、わたしに、ちゃんとした彼ができました。
と言っても、相手はわたしの学生時代からの友達。
まさか。
こうなるとは夢にも思っていませんでした。
彼と知り合ったのは、まだ小学生で、当時11才のわたしは少しも彼を意識することなく、ただ冴えない男の子だなぁというイメージしか残っていません。
目がかなり悪く、冗談ではなく牛乳瓶の底のようにも見えるメガネ。
彼がメガネをふくときに、メガネなしの顔を何度か見たことがありますが、目がけっこう大きくて驚きました。
中学に入ってからは、なんとなく異性と遊ぶことを避けていたので、同じクラスになったとき、教室で話す程度。
高校も別の学校に進んだのですが、利用する駅も同じだし、彼とわたしの高校は2駅違うだけだったので、やたらと顔を合わせる機会があったのです。
高校に入って初めての夏休み。
まだ連絡を取り合っている女友達と、彼の方の友達何人かで花火を計画。
わたしと彼は一足先に待ち合わせをし、花火の準備。
そのときわたしが何気なく彼に放った言葉が彼の人生を変えたらしい。
“せっかく背が高いんだし、メガネはずしてオシャレしたら、モテそうなのに”。
自分がオシャレもしていなくて、よくそんなことが言えたものだと、今のわたしは恥ずかしくなったのだけれど、彼はそれから努力したのだとか。
クリスマス前には彼に初めての彼女ができました。
そして、わたしも。
もともと気があっていたし、お互いの悩みを相談したり、その後も別れたときは彼になぐさめてもらったり、就職してからは、たまに飲みに行く間柄。
が。
なぜ?
いつ、そんな感情が湧いてきたのかはわからない。
わたしは短大に進学したけれど、彼は大学受験に失敗し、1年浪人したけれど進学することなく就職。
社会人になってから知り合った彼女と早くも結婚を考えていたとか。
わたしが短大を卒業してしばらくして、婚約したことを彼から聞いたのです。
すごいなぁ。
なんてちょっぴり尊敬したのも束の間。
彼は結婚を迷っているみたいだった。
いろいろ相談を受け、話しも聞いて、今からこうなら別れた方が良いのでは?と思う気持ちを口に出来ないでいました。
だって、もう婚約しちゃってるし。
わたしは、ただ一緒にお酒を飲んて、話しを聞くだけ。
結局、彼は別れる決心をし、わたしは応援することしか出来ませんでした。
結納を済ませたあとだったので、それなりの慰謝料も支払ったようです。
その2年後。
ボーナス分から3買いに分けて、親へ立て替えてもらっていた慰謝料を返し終え、その後なんとなく使わずにいたボーナス分で、ヴィトンの財布を買いに行くからついてきてくれ、と言われたのです。
何気に言ったひとこと。
“ええ?ついて行くだけ?わたしには?”
彼の返答。
“安いやつなら買うたるわ。”
わたしは、思わず飛び上がってよろこんだ。
でも。
安くても何万もするよ。
わたしが前にもらった財布もショップでみるとけっこうしていた。
そのことを教えて、
“本当は長財布がほしかった”けれど、7~8万していたことを告げると、
“どの財布?”
と聞かれた。
それは、彼が欲しいと思っているものと同じだったのです。
“じゃあ、お揃いで買うか。”
ええっ?
またしても驚くわたし。
人生の半分、友達やってた記念、なんだという。
夏のボーナスのあと、彼と一緒に某デパートのショップへ。
目的が決まっていたので、近づいてきた店員さんに、お財布を見せてもらう。
やっぱりこれ素敵♪
“これ、2つください。”
と言った彼がすこしかっこよく見えた。
それからさらに1年半。
ようやく付き合うことになったのでした。
自分磨きを始め、綺麗になってきたわたしを見て、だんだん不安になってきたのだとか(笑)。
かなりうれしいほめ言葉です。
彼に、
“知り合って20年とか、付き合って何年かの記念にバッグ買ってくれる?”
と聞くと、
“じゃあ、知り合って人生の1/3記念やな。”
計算すると、わたしが33才になってしまう。
がっくり落ち込んでいると、彼は笑いながら頭をなでて、
“もっと早くプレゼントできるよう、頑張るよ。”